萬古の技

・期 間:2022年4月29日(祝)~2022年7月3日(日)※休館日を除く

・場 所:ばんこの里会館1F 企画展示室

ばんこの里会館公式Instagramでも、順番にご紹介していく予定です。

「伝統的工芸品」とは

  • 主に日常生活で使われるもの
  • 主な製造過程が職人の手づくりによるもの
  • 伝統的な技術又は技法で作られるもの
  • 伝統的に使われてきた材料を主としているもの
  • 一定の地域で、ある程度の規模を形成して作られてきたもの

の条件を全て満たし経済産業大臣に指定された工芸品のことを指します。

※本展は経済産業省、伝統的工芸品産業振興協会、県内各伝統的工芸品の産地組合 HP を参照しています。

「伝統工芸士」とは

高度な技術を要する伝統的工芸品を後世に伝えるため、経済産業大臣が伝統的工芸品と、その用具・原料などを製造する技術者を認定する制度。
12 年以上の実務経験と、技術と知識を問う「伝統工芸士認定試験」に合格すること等が必要です。
現在、全国では 237 品目の伝統的工芸品があり、3623 人が伝統工芸士として認定されています。
1981 年には、技術の継承と向上、振興のため、「日本伝統工芸士会」が設立されました。

※ 2022 年 3 月18 日現在

三重県の伝統的工芸品

県内では四日市萬古焼を含む 5 つの工芸品が伝統的工芸品に指定されており、51 人が伝統工芸士に認定されています。

四日市萬古焼では現在12 名が伝統工芸士として活躍しています。

※2022 年 2 月 25 日現在 伝統的工芸品産業振興協会及び四日市萬古焼伝統工芸士会調べ

「伝統的工芸品 四日市萬古焼」

萬古焼は江戸時代中期に、桑名の豪商・沼波弄山が始めた焼き物ですが、伝統的工芸品としての四日市萬古焼は、弄山やその後に萬古焼を再興した森有節などの技法を研究し、明治期に四日市で確立された焼き物が元となっています。
全ての萬古焼が伝統的工芸品として指定されているのではなく、詳細まで指定された告示の製法・原材料に沿って伝統工芸士が製造したものが「伝統的工芸品 四日市萬古焼」となっています

【告示】
技術・技法

  • 成形は、ろくろ成形、押型成形又は手ひねり成形によること。
  • 素地の模様付けをする場合には、透かし紋、びり、千筋、亀甲、松皮、石目、虫喰い、はり付け、彫り、ちぎれ線筋、櫛目、印花、化粧掛け又はどべたたきによること。
  • 釉掛けをする場合には、浸し掛け又は流し掛けによること。この場合において、釉薬は「灰釉」又は「透明釉」とすること。
  • 上絵付けをする場合には、盛り上げ、ぼかし、たたき、イッチン、線描き、重ね塗り又ははけ目によること。この場合において絵具は「和絵具」又は「金銀彩絵具」とすること。

原材料
はい土に使用する陶土又は陶石は、知多黄土、垂坂黄土、垂坂青土、村上粘土、木節粘土、滝川陶石、河合陶石又はこれらと同等の材質を有するものとすること。

【特徴】
お茶を愛する人々に古くから親しまれている萬古焼の急須は、土に含まれる鉄分がお茶の渋みを程よく吸着して味わいを高めるだけでなく、使い込むほどに色合いもよくなり落ちついた独特の艶が現れます。
【概要】

  • 工芸品の分類:陶磁器
  • 主な製品:急須、茶器、花器、酒器、室内置物
  • 主要製造地域: 四日市市、桑名市、鈴鹿市、いなべ市、東員町、菰野町、朝日町、川越町
  • 指定年月日 :1979 年 1 月 12 日

企画展出展:伝統工芸士

(50音順)伊藤実山/伊藤美月/清水潮/清水潤/清水醉月/舘正規/森一蔵/森伊呂久/山田東華
*名前をクリックしていただくと詳細へジャンプします。

伊藤 実山  Jitsuzan Ito

認定部門:成形部門
従事年:1953 年~
代表的な技法:透し彫急須 鈴入急須
主な製品:萬古紫泥急須 湯呑 煎茶器 香炉 花入れ
受賞歴:日本伝統工芸展入選、東海伝統工芸展入選、中日国際陶芸展入選など
    瑞宝単光章受章

伊藤 美月  Bigetsu Ito

認定部門:成形部門
従事年:1962 年~
主な製品:萬古急須 香炉 花器 酒器
受賞歴:萬古急須品評会通商産業大臣賞、日展入選、日本現代工芸展入選など
    四日市無形文化財保持者に認定

清水 潮  Ushio Shimizu

認定部門:成形部門
従事年:1998 年~
代表的な技法:釉薬のかけ流し、練りこみなど
主な製品:急須、花器、食器など
受賞歴:日本伝統工芸展受賞、東海伝統工芸展受賞など

清水 潤  Jun Shimizu

認定部門:成形部門
従事年:1995 年~
代表的な技法:ろくろによる成形にて磁器や萬古紫泥を様々な技法で表現
主な製品:急須、花器、食器など
受賞歴:東海伝統工芸展最高賞受賞など

清水 醉月  Suigetsu Shimizu

認定部門:成形部門
従事年:1962 年~
代表的な技法:ろくろによる成形後のサンドブラストによる削り文様
主な製品:萬古紫泥急須 湯呑 煎茶器 香炉 花入れ
受賞歴:四日市文化功労者表彰、三重県文化大賞受賞、日展入選など
    瑞宝単光章受章

舘 正規  Masaki Tachi

認定部門:成形部門
従事年:1973 年~
代表的な技法:萬古焼象嵌 飛カンナ 焼〆
主な製品: 急須 湯呑 皿 花入 壷 鉢 酒器
受賞歴:萬古急須品評会通商産業大臣賞、知事賞、日本煎茶工芸展入選など

森 一蔵  Ichizo Mori

認定部門:加飾部門
従事年:1966 年~
代表的な技法: 上絵付け(赤絵、腥臙脂彩、金彩、銀彩)等
主な製品: 香炉、飾り皿、花器、香合、酒器、茶碗
受賞歴:三重県展優秀賞、朝日陶芸展秀作賞、全国伝統工芸品特別賞など
桑名市指定無形文化財認定

森 伊呂久  Iroku Mori

認定部門:成形部門
従事年:1982 年~
代表的な技法: 石垣文様 ダイヤカット 千筋文様
  主な製品: 急須、花入、涼炉、湯沸、建水、巾筒など
受賞歴:萬古焼急須品評会市長賞、日本新工芸入選、三重やきもの展入選など

山田 東華  Toka Yamada

認定部門:成形部門
従事年:1968 年~
代表的な技法: 手捻り紐造り、赤絵・盛絵、ろくろ成形
  主な製品: 壺・花器・食器・酒器、盛盞瓶など
受賞歴:日本伝統工芸士会功労者表彰受賞、日本伝統工芸士展受賞、日展入選など

三重県の伝統的工芸品:伊賀くみひも

伊賀くみひもの始まりは奈良時代以前にまで遡ると言われています。
経典などの仏具や神具に用いられ、平安期には貴族の装束や室内を飾る紐として愛用されました。武士の時代になると、甲冑や刀剣の紐等武具類を中心とするくみひも文化が発展。伊賀の忍者が紐の結び方で仲間に合図を送っていたともいわれています。
近代以降は、くみひもの技術は和装に欠くことのできない帯締めや羽織紐として親しまれています。
【特徴】
 くみひものデザインにより色見本に忠実に美しく染め上げられた絹糸、その一筋一筋が交わり合い、独特の風合いと味わいを作り出します。
【概要】
 ・工芸品の分類:その他繊維製品
 ・主な製品:帯締め、羽織紐、ネクタイ
 ・主要製造地域: 伊賀市、名張市
 ・産地組合:三重県組紐協同組合
       伊賀市上野丸之内 116-2
       伊賀伝統伝承館
       TEL:0595-23-8038
       HP:www.kumihimo.or.jp

三重県の伝統的工芸品:伊賀焼

始まりは 7 世紀後半から 8 世紀に遡ります。
伊賀の豊富な陶土と薪の燃料を利用し、農業用の種壷や甕などが焼かれました。飛鳥時代には寺院の瓦も作られていたといいます。
茶の湯が盛んとなった安土桃山時代には、伊賀国領主のお庭焼として古田織部などの指導で水指や花入が焼かれ、茶の湯の陶器として伊賀焼の名は全国に広まりました。江戸時代中期には、現在の伊賀焼生産地としての基盤が築かれました。

【特徴】
硬く、重厚感があります。窯変によるガラス質や焦げの付き具合、そして器そのものの力強い形や色が、伊賀焼の特徴となっています。
【概要】
 ・工芸品の分類:陶磁器
 ・主な製品:茶器、花器、土器、行平、食器
 ・主要製造地域: 伊賀市、名張市
 ・産地組合:伊賀焼振興協同組合
       伊賀市丸柱 169-2
       伊賀焼伝統産業会館内
       TEL:0595-44-1701
       HP:www.igayaki.or.jp

三重県の伝統的工芸品:伊勢型紙

友禅染や小紋・ゆかたなどの図柄や文様を染める際に用いられる「伝統的工芸用具」伊勢形紙。
その発祥については諸説あります。室町時代の絵に形紙を使う様子が描かれていることから、室町末期には使われていたと考えられます。

江戸時代には紀州藩の保護を受け、白子、寺家の両村を中心に発展、全国に広まりました。現代では着物と型紙の需要減少を受け、インテリアなど新しい活用法が考案されています。

【特徴】
美濃和紙を柿渋で張り合わせたものを燻して作る型地紙に模様を彫ります。この型地紙の生産は伊勢形紙でしか行われていません。
【概要】
 ・工芸品の分類:工芸材料・工芸用具
 ・主な製品:染色用具、美術工芸品、インテリア
 ・主要製造地域: 鈴鹿市
 ・産地組合:伊勢形紙協同組合
       鈴鹿市寺家 3-10-1
         鈴鹿市伝統産業会館内
       TEL:059-386-0026
       HP:www.isekatagami.or.jp

三重県の伝統的工芸品:鈴鹿墨

平安時代初期に鈴鹿の山で採れる松材を燃やして煤を取り、それをニカワで固めて墨を作ったのが発祥と伝えられています。
江戸時代、大名の家紋制度や寺子屋の発展とともに上質な墨の需要が増加。領主であった紀州藩主の保護も受けて生産が増えました。鈴鹿は原材料を入手しやすく、風土や水質が墨の製造に適していたこともあり、奈良とともに日本の墨の二大産地となっています。

【特徴】
 鈴鹿墨は発色が良く、光沢に優れ、墨下りが滑らかです。絹や紙への定着度も高く、染め物の染料などにも使用されています。
【概要】
 ・工芸品の分類:文具
 ・主な製品:和墨
 ・主要製造地域: 鈴鹿市
 ・産地組合:鈴鹿製墨協同組合
       鈴鹿市寺家 5-5-15
       TEL:059-388-4053
       HP:www.suzukazumi.co.jp
       Shop:itokido.theshop.jp